ストーリーマンガでは、物語上様々な場面を描くため、様々な“背景”を描く必要があります。基本的には、資料写真等に基づいて、しっかり描くことが大切です。

注意点としては「人物」と「背景」を別々に考え過ぎない事です。その「人物」の居る「風景」としてとらえる事が大事です。でないと、人物と背景が合わない(パース的に)とか、1枚の絵として浮いているという感じになってしまいがちです。あくまでも、1つの風景、場面として考えましょう。

「パース」について―――

パースとは遠近法の事です。マンガを描く上で「パースが取れない」とか「パースが難しい」とかよく言いますが、これは、あくまでもその場面で伝えたい事や表したい雰囲気の為に必要なものです。それを基本に考えましょう。
「パースが合っているから面白い!」などというマンガはありません!その上で、自分(作者)が、伝えたい事を伝えやすくする手段としてのテクニックとして、パースの取り方(遠近法)を身に付けておくと良いでしょう。
一番の基本は、“近くにある時は大きく見え、遠くにある時は小さく見える”という事です。それと、どこから見ているのか?(撮影的に言うとカメラ位置)です。
これをアイレベル(EL)とか言います。EL の線上のどこかに消失点(小さくなって消えてしまう点)が来ます。

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町中でビル等を見ている時に、消失点はどのへんになるかを捜すクセをつけると、自分で絵を描く時の練習になります。

パースは建物や風景にだけつくものではありません。全ての物にパースはついています。当然、人間キャラにもです。

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しかし!あくまでも伝えたいこと、表したい雰囲気の為のパースです。極論を言えば『見ておかしくなかったら良い』のです!
“風景”としてのイメージを優先し、それを活かす為にパースを活用して下さい。

○伝えたいイメージの為に、パースをくずしたり、デフォルメしたりする事もひとつのテクニックです。

※イラスト【アオリ】や【フカン】は心理的効果を表現するために使われたりもしますが、何を描くにしろ、本当は全て「パース」がつきものなのです。

イラスト下から見た図を【アオリ】上から見た図を【フカン】と言います

第5回問題

1人の人物がいる街中の風景

・できるだけ具体的な場所をイメージしてください。
・人物と背景の整合性(位置や大きさ、パース等がバラバラにならないよう)には注意してください。

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2人以上の人物がいる部屋の中の風景

・2人以上の人物はそれぞれ違うポーズ。(例:立っている人と座っている人とか )

・どういう部屋か具体的に書いてください。(雰囲気がでるように)

・人物同士の大きさや位置をパース等の整合性に注意してください。

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文責 ラッキー植松イラスト作品 ラッキー植松作品見本 真島 モト